大学院は楽しい

先日、次のようなくだらないトピックについて考えていました。

「人間はどのくらい高速で動けば、目の前に突然物体が湧き出たように認識するか」

例えば、AさんがBさんに「ティッシュを取って」とお願いします。
次の瞬間Bさんは、人間の目では捉えきれないほど高速でティッシュを取り、寸分の狂いもなく元の位置に戻れば、AさんにはBさんの手に握られているティッシュがぱっと湧き出たように感じられるはずです。
よく手品でも瞬間移動の類がありますが、あれはあくまで手品であり、タネがあります。
そうでなく、実際に物理的に高速で動いて瞬間移動を達成するわけです。

・・・実にくだらない(笑)

でも、面白そうだったので、みんなでディスカッションしてみました。
この手の話題はK.Y.君とかT.I.君とか大好きです。

一応の回答を用意しました。

まず、最初は「どのくらいの速度で動けばよいか」を考えていたのですが、これではだめだと思いました。
なぜなら、「近い遠いといった距離によって見え方が変わる」からです。
これでは一般的な解を導けない。
そして気付いたのです。
そういえば蛍光灯は1秒間に60*2回(あるいは50*2回)高速で明滅しているけれど、われわれの目には認知できないと!!
つまり、1フレーム0.0083秒以内であればわれわれは捉えられないということです。
1フレームというのは、瞬間の映像です。
ということで、先の問いに対する回答はこうです。

「物体が視界に入ってから0.0083秒以内に視界から消えるくらいの速度」

ティッシュの例ではBさんが0.0083秒以内にどこかからティッシュを取って、寸分の狂いもなく元の位置に戻れば、AさんにはBさんの手に握られているティッシュがぱっと湧き出たように感じられるはずです。
あとはティッシュがどこに置いてあるかで速度が決まります。
ティッシュが1mの位置にあれば、1 * 2(往復) / 0.0083 = 241.0 (m/s)。
時速に直すと 867.5 (km/h) くらいで動けばいいわけです。

思い返すと、小学生くらいのころ、両手で輪ゴムを「シュッ」とやってどちらに隠したかを当てるゲームがありました。
両手を 10cm くらいに離して、輪ゴムの速度は 30km/h とすると約83fps。
なんて不毛な遊びをしていたのだろうと気付かされます。


大学院は楽しいです。

くだらないことでも真面目に議論します。
普段はくだらなすぎて誰も相手にしてくれないのに、古川研のみんなはノリノリで一緒に考えてくれます。
考えてみれば、同じ研究室を選ぶという時点で、嗜好が似通っているのかもしれません。